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筋トレ倶楽部Hoppy

HOPPYの仲間たち|第3話「重さの向こうに、何があるブー?」

Hoppyの物語

2025年4月27日

HOPPYの仲間たち|~ジムで見つけた僕の居場所~

第3話「重さの向こうに、何があるブー?」

ジムの空気には、麦茶の香りがする。
たぶん、誰かのシェイカーの中身が麦茶だからなんだけど、ボニーはその香りがけっこう好きだった。

今夜も誰もいないHOPPYで、ひとりベンチに寝そべる。
目の前にあるのは、ぴかぴかのバーベル。60kgのプレートが、静かにこっちを見ている。

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「うーし、今日こそ胸筋に話しかけてみるブー」

ボニーは両手を組んで胸に乗せた。
それから、ふうっとひと息ついて、ゆっくりバーベルを握る。

持ち上げて、下ろして。持ち上げて、下ろして。
胸の上で重さが踊るたび、いろんなことがよぎる。

たとえば――昔のこと。
がむしゃらに働いて、食って、寝て、また働いて。
自分がどこに向かってるのかもわからないまま、ただ日々をこなしてた。

いつからだったか、“自分のために何かをする”ってことを忘れてた。
筋トレを始めたのは、そんな自分が、なんとなくイヤになったからだ。

「重さって、裏切らないブーな…」
「がんばったぶんだけ、応えてくれるブー」
「……たぶん」

誰に聞かせるでもない、ボニーのひとりごとがジムに響いた。

ふと、天井を見上げる。

そこに、かつて小さな声があったような気がした。

戸棚の奥に、今も残っている赤い小さなコップ。
ひとりで暮らすには必要ない、それが捨てられずにいる理由。

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(……ま、昔のことブー)

そう思いながら、ボニーはバーベルを丁寧にラックへ戻した。

「……っは、いけね、涙出るとこだったブー!」

勢いよくベンチから起き上がると、ボニーはタオルで顔をぬぐった。
別に泣いてなんかいない。ただ、汗が目にしみただけ。

そのまま、ジムの床にごろんと寝転がる。

「よし、明日はモッティの補助でもするブーかね〜」
「…あいつ、スクワットひとつで立派な顔してたブーな」

ひとりで笑って、また天井を見た。

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今日のひとこと
「ブーっと笑ってごまかしても、重さの向こうにある想いは、消えていない。」

次回  第4話 「あのバトンが、いまも落ちたままなんだ」

マンガ第1章入会編