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筋トレ倶楽部Hoppy

HOPPYの仲間たち|第9話「岡田氏パーソナル ボニーの場合」

Hoppyの物語

2025年6月8日

HOPPYの仲間たち
~ジムで見つけた僕の居場所~
第9話 「岡田氏パーソナル BONNYの場合」

「じゃあ、今日はベンチプレスやってみようか」

岡田氏の声に、ボニーはひとつ頷いた。
いつもの青いシャツが少しだけ緩くなった気がする。それはうれしいはずの変化だった。でも、なぜか最近、バーベルが少し重く感じる。

「……前より軽いはずなのに、なんでか上がらないなあ」

ふと、心の声が漏れた。

「ボニー、ちょっと見せてごらん」

岡田氏が、フォームをじっと観察する。
静かに、でも深く見てくれるまなざし。
ボニーがこのジムに通い続けている理由のひとつ。

「うん……がんばってるのは伝わる。でもね、力の入れ方、ちょっとだけ見直そうか」

そう言うと、岡田氏はベンチに腰掛けて、まっすぐボニーの目を見て話しはじめた。

「骨格で受けて、腕の力は抜かないと、それ以上成長できないよ」

ボニーは目を丸くした。「え、力を抜くんですか?」

「うん、全部の力を使うんじゃなくて、“必要なところにだけ”使う。関節と骨格で支えて、そこに筋肉をのせていく。それがベンチの基本さ」

「なるほど…!」

言葉にしながらも、ボニーの頭の中では、最近の変化がぐるぐる回っていた。

――食事を減らして、体重が落ちてきた。
――けど、記録は……あまり伸びてない。
――見た目は変わったけど、自分が“強くなった”という感覚があまりない。

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岡田氏は、その迷いを察したのか、ふっと表情を和らげて言った。

「ダイエットして体重が落ち続けてたら、重量は上がっていかないよ。筋肉も、パワーも、材料が必要なんだ」

ボニーは静かにうなずいた。
本当は、もっと強くなりたかった。もっと“かっこよく”なりたかった。
でもどこかで、体重が増えるのが怖かった。

「じゃあ…少しずつ、食べてもいいのかな」

「うん。自分の目標に合わせてね。体重の数字だけじゃなく、“何を目指すか”を変えていくタイミングかもしれないよ」

その言葉に、ボニーの心のなかに、静かに火が灯った。

目指したい自分は、「痩せている自分」じゃなかった。
“強くて、自信のある自分”だった。

「じゃあ……もうちょっと食べてみようかな。プロテインだけじゃなくて、おにぎりもつけようかな」

「それでいいと思うよ」

岡田氏は笑った。
その笑顔が、ボニーの決意にやさしく背中を押してくれた。

――今日のベンチプレスは、記録更新じゃなかった。
でも、ボニーのなかで、なにかが確実に変わりはじめていた。


今日のひとこと
「強くなりたい」――その本当の意味に、ボニーは気づき始めていた。

次回 第10話「今日はジムに来ないってさ」

マンガ第1章HOPPY入会編