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筋トレ倶楽部Hoppy

HOPPYの仲間たち|第18話「鏡を見たくなかった日」

Hoppyの物語

2025年8月17日

HOPPYの仲間たち ~ジムで見つけた僕の居場所~
第18話「鏡を見たくなかった日」


「こんにちは〜…」

ジムのドアが開いて、モッティの後ろから、
こももがひょこっと顔をのぞかせた。

モッティに似て、ぽやっとした表情。
だけど、目だけは真剣で、少しだけ緊張していた。


「今日はこももが見学に来ました〜」
「…わたし、はじめてで」

ボニーとルルが優しく迎え、
岡田氏が「無理せず、見てるだけでもいいよ」と声をかける。

ジムの空気が、こももをやわらかく包んだ。


そのとき、フクロカさんが静かに現れた。

「こんにちは。あなたが…こももちゃん?」

「……はい」

フクロカさんがそっと手を差し出すと、
こももは一瞬驚いたあと、ほっとしたように握り返した。


トレーニング器具の使い方を聞いたり、軽く体を動かしてみたり。
こももはモッティの後ろに隠れるようにして、
でも、目はずっと前を見ていた。


そんなときだった。

「……あの……………」

ポツリとつぶやいたこももに、
フクロカさんはうなずいた。

「少し、静かな場所に行こうか」


ふたりは、奥にあるカウンセリング室へと向かった。

薄明かりの室内に、ふわっと柔らかい椅子。

画像



ドアが閉まると、こももはようやく深く息を吐いた。


「…なんでここに来たのかって、たぶん、みんな思ってると思うんです」

「うん。聞いてもいい?」

こももは、少しの間をおいて話し出した。


「わたし、鏡が苦手なんです」

「写真とか、動画とか……自分が映るの、すごくイヤで」

「前に、友達に“なんか丸い〜”って笑われて。
ほんとは笑ってなかったかもしれないけど、
そう聞こえちゃって。ずっと」


「でも、テレビで梅島奈々子さんが、
“スクワットがわたしの自信の源です”って言ってて」

「それで……わたしも、ちょっとだけ変われたらって、思って」


フクロカさんは何も言わず、こももの話を聞いていた。
言葉じゃなく、まるごと受け止めるように。


「お兄ちゃん、ほんとにかっこよくなってて。
でも…その分、わたしは全然変われてないって、
勝手に比べちゃって」


しばらくの沈黙のあと。

フクロカさんは、ぽつりと言った。

「鏡って、自分を映すためだけのものじゃないのかもね」

「“これからの自分”が、ちょっとずつ見えてくるためのものかも」


こももは、小さくうなずいた。

そして、ゆっくり立ち上がって言った。

「今日は……見学だけのつもりだったけど、
スクワット、やってみてもいいですか?」


今日のひとこと
「ほんの少し、鏡を見てみたくなる。そんな日が、きっと始まり。」

次回 第19話 「ルル × スクワット編」

マンガ第1章HOPPY入会編