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筋トレ倶楽部Hoppy

HOPPYの仲間たち|第29話「それは、ここだけの話」

Hoppyの物語

2025年11月2日

HOPPYの仲間たち ~ジムで見つけた僕の居場所~
第29話「それは、ここだけの話」


翌日のHOPPY。
ジムの空気はいつもと同じようで、でもどこかふわりと張りつめていた。

ベンチで汗を拭いていたモッティが、ぽつりとつぶやく。

「……昨日のゴリラーマンさん、びっくりしてたよね」

「まさかフクロカさんが、軍人だったなんてなあ……」

ボニーがダンベルを握り直しながら、目を見開いたまま言った。

「いや、兵士っていうか……なんか、伝説みたいな扱いだったブーよ」

「『OWL of Delta-9』って、すごいコードネームだブー……」

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二人の声はいつになく小さくて、敬意が混じっていた。


一方、奥のカウンターではフクロカさんが静かに記録をまとめていた。

その様子を見ながら、岡田氏がそっと隣に立つ。

「……昨日は驚きましたよ」

「まさか、見つかるとは思ってなかったけれど……。ゴリラーマンは当時の従軍整備兵だったみたい」

岡田氏は笑った。

「僕は、あなたが元兵士ってことだけは知ってました。でも、まさかあんなコードネームがついてたとは……正直、想像以上でした」

フクロカさんは少し照れたように目を細める。

「昔のことよ。いまは、ここでみんなの話を聞いて、
時々スクワットするくらいが、ちょうどいいわ」

「それがHOPPYです」

岡田氏も静かに微笑んだ。


その後、モッティとボニーが何かを言いたげに岡田氏に近づいてくる。

「ねえ、岡田さん……フクロカさん、すごい人だったんだね」

「うん。でもね、フクロカさんがすごいのは、
“すごいことを誰にも押しつけない”ところなんじゃないかな」

岡田氏のその言葉に、ボニーが頷く。

「……だから、ますます、すごいブーな」


夕方、誰もいないストレッチスペースで、
フクロカさんがひとり、スクワットをしていた。

その姿を、奥からそっと見守るモッティとボニー。

「……あのフォーム、迷いがないね」

「……でも、なんか、どこか遠くを見てるようだったブー」

その言葉に、モッティは少しだけ寂しそうな表情を見せた。


今日のひとこと

背中で語る人の強さは、言葉より深く届く。


次回 第30話 「記録ノートの端っこ」

マンガ第2章アイアンヘル編