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筋トレ倶楽部Hoppy

HOPPYの仲間たち|第31話「ゴリラーマンとアイアンヘル」

Hoppyの物語

2025年11月16日

HOPPYの仲間たち ~ジムで見つけた僕の居場所~
第31話「ゴリラーマンとアイアンヘル」

それは、ふたたび訪れた偶然か。
あるいは、彼にとっても“はじまり”だったのかもしれない。


夕暮れのHOPPY。
トレーニングの熱気が一段落した頃、ジムの扉がそっと開いた。

現れたのは、大きな身体を持て余すように立つ男――先日突然現れた“あのアメリカ人”。

「……こんばんは。マタ、来タ」

「……ゴリラーマンさん」

岡田氏が微笑む。
奥で記録をつけていたフクロカも、静かに顔を上げた。

「先日はどうも。今日は何か、用が?」

ゴリラーマンは少し言葉に詰まりながら、片言の日本語で答えた。

「コノ、近ク。ワタシ、働イテル。新シイ、ジム。IRON HELL」

一瞬、場の空気がぴりつく。

「……先週、ここのマエ通ッタ。入ッテ、見タ。マサカ、アナタ――OWL of Delta-9、イルト思ワナカッタ」

「もうその呼び名を知ってる人なんて、いないと思ってたわ」

フクロカは肩をすくめながら、ほんの少しだけ、懐かしそうに目を細めた。

「昔のワタシ、シッテル。怖カッタ。冷静。完璧」
「兵士ハ、強クナケレバ、死ヌ。優シサ、ジャ、守レナイ」

「でも…」
ゴリラーマンは、迷うように視線を泳がせた。

「今日、チョット話シタカッタ。ルル?元気ソウ、ダケド……少シ、心配ナンダ」

岡田氏とフクロカが目を合わせる。

「ルルくんのこと、知っているんですね」

「アイアンヘル。最近、来タ。トレーニング、真面目。ダケド……トテモ、“自分ニ集中”シテイル」

その言葉に、岡田氏はゆっくりとうなずいた。

「彼は、いろいろ考えたいんだと思います。でも、きっと大丈夫。きみがそう思ってくれるなら、なおさら」

ゴリラーマンはしばらく黙ったまま、HOPPYの空間を見渡した。

「IRON HELL……強クナル。ダケド、HOPPY……空気ガ、違ウ。
ココニイル、ヒトタチ。言葉少ナイケド……ナンカ、温カイ」

画像

フクロカが小さく微笑む。

「あなたの居場所がどこであれ、大事なのは、誰を大切に思うかよ」

「……アリガトウ」

ゴリラーマンは、少し不器用な笑顔を見せて、ジムをあとにした。

その背中を見送りながら、岡田氏がぽつりとつぶやく。

「彼も、たぶん……なにかを探してる」


今日のひとこと

強くなる場所は人それぞれ。でも、心が揺れるときは、たいてい誰かを思っている。


次回  第32話 「ルル、どこか遠くを見る」

アイアンヘルで黙々とトレーニングを重ねるルル。
彼の胸にあるのは、勝ちたいという欲望?
それとも、何かから逃げたいという焦燥――?

マンガ第2章アイアンヘル編