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筋トレ倶楽部Hoppy

HOPPYの仲間たち 第17話「壊れたベンチと、あの気配」

Hoppyの物語

2025年8月10日

~ジムで見つけた僕の居場所~ 第17話「壊れたベンチと、あの気配」


朝のHOPPYジム。
いつも通り、ルルはスクワットラックに向かっていた。

ふと、ベンチの横を通ったとき、違和感がよぎった。

「……あれ?なんか、歪んでる?」


座ってみると、微かに傾いている。
ギシ、という音。ほんの少し、だけど確かに。

ルルはベンチの裏側をのぞきこんだ。

「ボルト、緩んでる……っていうか、曲がってる?」

そのとき、ボニーが後ろからやって来た。

「どうしたブー? 今日はスクワットじゃないのかブー?」

「うん、ちょっと気になって」

LULUは立ち上がり、ラックのセーフティバーに手を置いた。

「それに、さっきからラックの高さも……僕が使うときより、だいぶ高くなってる」

画像

「それはよくあるんじゃないブー?」

「ううん。岡田さんはいつもこの高さに戻してくれるし、昨日最後に使ってたのはたぶんモッティ。
でもこの高さ、絶対もっと背の高い人のセッティングだよ」


ボニーが首をかしげた。

「でっかいやつ、来たってことブー?」

「たぶんね。しかも……相当重たい人。ベンチの歪み、普通の体重じゃこうならないと思う」


その言葉に、モッティも顔を出した。

「……それって、まさか……」

ジムの中に、ふっと静けさが広がった。


「うそ……伝説の、あの人……?」
「ここに? 昨日の夜? 本当に?」
「会いたかったブー……!」

みんながざわめき始める。
確かな証拠は、どこにもない。けれど、
“そうかもしれない”という興奮が、静かに胸を騒がせていた。


「ちくしょー……その時間、僕いたのに!奥で音楽聴いてたー!」

「ボク、床掃除してたブー!声かけてほしかったブー!」


その様子を、ジムの隅で見ていた岡田氏とフクロカさん。

岡田氏は、何も言わずに、そっと微笑んだ。

フクロカさんもまた、目を細めて空を見上げる。


言葉にしないまま、
ふたりだけは、何かを知っているようだった。


 

今日のひとこと
「会えなかったのに、確かに“そこにいた”と感じられる人がいる。」

次回 第18話 「鏡を見たくなかった日」

マンガ第1章HOPPY入会編