札幌中央区のセミパーソナルジム
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筋トレ倶楽部Hoppy

ようこそHOPPYジムへ ──その扉の奥には、物語がある 3-4

Hoppyの物語

2026年4月19日

第4話「分かれ道~ルルの移籍とHOPPYの試練~」

――選んだ先に待つもの――

朝のHOPPY。
トレーニングルームに差し込む光は、いつもと同じだった。
だが、その空気の中に漂っていたのは、確かに“違和感”だった。

岡田氏は、腕を組んだまま静かに入口の方を見ていた。
すでに開館から少し時間が経っている。
それでも、ルルは来ない。

「……」
言葉にはしない。ただ、何かを感じていた。

そのとき、裏口のほうでカサリと音がした。
フクロカがポストを覗くと、そこには毎日のように投函されているチラシがまた入っていた。

黒と赤の印刷。
《IRON HELL 新規会員募集中》と挑発的なフォントで記されたチラシ。
その裏面には――入会申込書が印刷されていた。

フクロカはそれを手にとってしばし無言のまま見つめ、そっと折りたたんで胸元にしまった。
顔は変わらないが、その目だけが、かすかに伏せられた。

***

黒と赤の重厚な外観を持つジム――IRON HELL。
その受付カウンターの前に、ルルが立っていた。

手元には、あの申込書。
自らの筆跡で書き込まれた名前と情報。
それを無言で差し出すと、カウンター奥からクロノスが現れた。

書類に目を通しながら、にやりと笑う。

「ふっ……やっぱり来たか。お前なら、どんどん強くなる」
低く、響く声。そのまま、ルルの肩を軽く叩いた。

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ルルはわずかに頷いたが、その目は揺れていた。
まっすぐ前を見ようとしても、ふと視線が右下へ流れる。
わずかな躊躇と、言葉にならない感情が、胸の奥をかき乱していた。

***

そのころ、HOPPYのロッカールームでは、ボニーとモッティが静かに中を見回していた。

「なあ……ルルのロッカー、見てみようか」

お互いに口にするのをためらっていたが、どちらからともなく向かう。

ルルのロッカーの扉を開けた瞬間――
そこにあるはずの荷物が、何もなかった。
いつも置かれていた上靴、リフティングベルト、水筒、タオル……
そのどれもが、きれいに片付けられていた。

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「……」

ボニーとモッティは言葉を失った。
ただ静かに、ロッカーの中を見つめたまま、立ち尽くす。

その背後から、岡田氏の声が静かに響く。

「……彼は、自分の道を選んだ。
 だからこそ、お前たちも――自分の道を、しっかり見つけていけ」

ボニーもモッティも、何も言えずにただ頷いた。
その胸の奥に、混じりけのない“寂しさ”と“焦り”が入り混じっていた。

***

ジムの隅。
閉店間際の時間、照明が落ちたフロアにぽつりと明かりが灯る。
そこにはフクロカがいた。
記録ノートを広げ、静かにページをめくっている。

鉛筆を持つ手が一瞬止まり、そっと空白の欄を見つめたままつぶやいた。

「……これからどう動くのか。
 すべての始まりは、今――なのね」

その直後、ジムの扉が閉まる音が、乾いた音を立てて響いた。
そして夜の静けさが、ゆっくりと、深くジムを包み込んでいった。

つづく


第四章 離れていても、まだ続いている
 第1話「空っぽのマット~欠けた輪~」

マンガ新約HOPPY物語