HOPPYの仲間たち
~ジムで見つけた僕の居場所~
第11話「休んでいたその理由とは?」
「……あっ、モッティだ!」
久しぶりにジムに現れた黄色いシャツに、ボニーとルルが目を見合わせた。
「お前、どこ行ってたのさ!」
「心配したよ」
ボニーが少しむくれた顔で言うと、モッティは困ったように笑って頭をかいた。
「うん……ごめんね。あのね、妹にスクワットを教えてたんだ」
「妹?」
ルルが首をかしげる。
「うん。急に“スクワット教えて”って言ってきてね。びっくりしちゃったよ」
「なんでまた急に?」
「モデルの梅島奈々子さんっているでしょ? 妹がすごく憧れててね。
その人の記事に、“スタイルの秘訣はスクワット”って書いてあったんだって」
ボニーとルルは顔を見合わせて、くすっと笑った。
「で、僕に頼んできたんだ。“お兄ちゃん教えて”って。
……でも、ちゃんと教えられるかなって不安になっちゃって。だから、岡田さんに相談したんだ」
「おおっ」
「そしたら、“子どもに説明してもわかるように話すことが大事”って教えてくれたの。
難しい言葉を使うより、簡単で伝わりやすい言葉で教えるのが、本当にできる人なんだって」
「……岡田さんらしいね」ルルがふっと笑ってうなずく。
「だから僕、妹と一緒に、家でフォームの練習をしてたんだ。
ジムには来られなかったけど、自分も一緒にちゃんとトレーニングしてたんだよ」

「……でもさ、なんで何も言ってくれなかったの?」ボニーが少し寂しそうに言う。
「それがね、ちゃんと手紙書いておいたんだ。
ボニーくんとルルくん宛に。ロッカーの横に置いたんだけど……」
「……あっ」
ボニーがハッとした顔になる。
「それ……掃除メモかと思って、ちょっとだけ……捨てそうになったかも」
「そっか……気づいてもらえなかったんだね。でも、いいんだ。今日、ちゃんと会えたから」
モッティのやさしい笑顔に、ボニーもルルも、ちょっとだけ照れたように笑った。
「でもさ、モッティ。妹に教えるなんて、ちょっとカッコいいじゃん」
ルルが素直にそう言った。
「えへへ……ありがとう」
モッティは少し照れながらも、ゆっくり立ち上がった。
「じゃあ……僕も久しぶりにスクワットやってみようかな。
ほら、妹に“お兄ちゃん、かっこよかった”って言われちゃったからね」
ボニーとルルが「いいじゃん!」と笑顔になる。
遠くから岡田氏が静かに見守っているのに、3人はまだ気づいていなかった。
今日のひとこと
大切な誰かに教えることは、自分を強くするトレーニングでもあった
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