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筋トレ倶楽部Hoppy

HOPPYの仲間たち|第7話「岡田氏パーソナル モッティの場合」

Hoppyの物語

2025年5月25日

HOPPYの仲間たち
~ジムで見つけた僕の居場所~
第7話「岡田氏パーソナル モッティの場合」

「…いち、に、さ…ひょえっ!」

スクワット三回目で、モッティはバランスを崩してぐらりと傾いた。
足の裏が、ぺたっと潰れてる。重心が前なのか後ろなのか、自分でもよくわからない。

「モッティくん、ちょっと止めてみようか」

岡田氏の声は低くて穏やか。でも、ちゃんと届く。

「今、立ったときと座ったときで、足の裏の感覚って違ってない?」

「え、ええっと……はい。違ってます…たぶん…」

モッティが正直に答えると、岡田氏はにっこり笑った。

「スクワットってね、立った時の足の裏のバランスと、座った時の足の裏のバランスが常に変わらないんだよ」

「えっ!?……常に?」

「うん。『重さをどこで受けるか』ってことを体に覚えさせるのがスクワット。
モッティくんの今のスクワットは、下りるときに“逃げてる”。それが悪いわけじゃない。
でも、“自分の軸”を知るには、足の裏の感覚を意識するのが一番の近道だよ」

岡田氏の言葉は、ふしぎとモッティの耳にすっと入ってきた。
怒られてるわけでも、責められてるわけでもない。
ただ、「教えてもらってる」。それだけのことが、なんだかとても嬉しかった。

「はいっ、やってみます!」

さっきよりも、ちょっとまっすぐ立てた気がした。

岡田氏はそっと、モッティの背中に手を添えた。
「ここに、少しだけ意識を置いて。はい、下りてみようか」

「……いち、に、さん」

画像

今回は、ふらつかなかった。足の裏が、ちゃんと“そこにあった”。

「モッティくん、今のはいいよ。自分でわかったでしょ?」

「う、うん……ちょっとだけですけど、はいっ!」

背中がぽかぽかしていた。うれしいのか、疲れてるのか、どっちかわかんない。
でもモッティは、自分の脚でちゃんと立ってた。

帰り道。モッティは自転車のサドルに腰をかけながら、こっそりつぶやいた。

「…ぼく、ちゃんと足で立ててるかも」

それは、たった1セットのスクワットよりも、ずっと重みのある実感だった。


今日のひとこと
「誰かが見てくれてると、ちゃんと立てる気がする。足の裏の、その感覚のように。」

次回 第8話 「岡田氏パーソナル ボニーの場合」

マンガ第1章HOPPY入会編