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筋トレ倶楽部Hoppy

HOPPYの仲間たち | 第13話 「僕がトレーナーになった理由」

Hoppyの物語

2025年7月13日

HOPPYの仲間たち ~ジムで見つけた僕の居場所~
第13話 「僕がトレーナーになった理由」

「岡田さんってさ、なんであんなに詳しいんだろうね」
BONNYがトレーニングの合間にぽつりとつぶやいた。

「ほんとだよね……」モッティがしみじみとうなずく。
「なんでも知ってる。食べ物のことも、フォームも……まるで辞書みたい」

「いつからトレーナーやってるんだろう?」LULUが腕を組みながら言った。

すると、少し離れたところでダンベルを片付けていた岡田氏が、ふっと笑った。

「聞きたい?……僕がトレーナーになったきっかけ」

3人がそろってこくんとうなずいた。


「昔の僕は、ただの“筋トレが好きな若者”だったよ。
でもね……今みたいに情報が簡単に手に入る時代じゃなかった」

岡田氏の声は、懐かしむように、少しだけ遠くを見つめていた。

「だから、週末ごとに図書館へ行って、筋トレの本を読み漁った。
どこにどんな本があるか、背表紙だけで覚えてたくらいさ」

「それから、地元の公営ジムにも通った。安いけど、設備は最小限。
でも……いろんな人がいたんだ。年配の人、学生、元アスリート……
とにかく声をかけて、フォームを見せてもらって、話して、吸収していった」

「正直、間違ったこともたくさんやったよ。
肩を痛めたり、腰を壊しそうになったこともあった」

岡田氏は、少しだけ笑って肩をすくめる。

「そんな時、ふと思ったんだ。
“全部を知ってる人が、そばにいてくれたらよかったのに”って」

「だからね。僕は、なりたかったんだよ。
“かつての僕”みたいな人の、そばにいられる存在に」

BONNYが「……それが、トレーナーになった理由?」と静かに尋ねると、岡田氏は頷いた。

「そう。でも……もう一つある」

モッティが首をかしげる。

「実はね。当時、僕にとってのお手本みたいな人がいたんだ」

岡田氏の声が、ほんの少しだけ低くなる。

「すごく強くて、理論にも詳しくて、それでいて誰にでも優しかった。
たぶん、あの人がいなかったら、今の僕はいないと思う」

「その人、今は……?」LULUがそっと聞いた。

「今、何をしてるか……」
岡田氏はほんの一瞬、笑みを消して続ける。

「そう簡単には会えない。
気まぐれで、ふいに現れて、
誰よりも静かにジムを去っていく──
そういう人なんだ」

岡田氏の視線の先には、かつて壁に貼られていた一枚のポスターの跡があった。
今では剥がされ、日焼けの跡だけが残っている。

画像

そのポスターには──
何が描かれていたのか、知る者はもう少ない。
けれど岡田氏は、その背中を忘れていなかった。

無言のまま、岡田氏はそっと目を閉じた。



今日のひとこと
あの背中は今でも僕の中で、道しるべのように立っている

次回 14話 「誰かの言葉が、胸に残った」

マンガ第1章HOPPY入会編