札幌中央区のセミパーソナルジム
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筋トレ倶楽部Hoppy

ようこそHOPPYジムへ ──その扉の奥には、物語がある 5-4

Hoppyの物語

2026年6月14日

第4話「秘密の扉~あこがれの人はすぐそこにいた~」

「モッティお兄ちゃん、ちょっとこっち来て!」

夕食後のリビングで、こももがソファの上でスマホを見ながら手招きしている。画面には、モデルでありながら本格的な筋トレをこなすことで人気の“梅島なな子”のYouTubeチャンネル。

「これこれ!“スクワットは愛です”ってシリーズの新作!」

こももは画面にかじりつきながら、目を輝かせて言う。

「……あれ?」

隣に座ったモッティがふと声を漏らす。
なな子がスクワットしているその背景。グレーの壁に、見覚えのあるベンチとバーベルラック。

「この壁……なんか見覚えあるな。これ、HOPPYの控室にそっくりだぞ……?」

「えっ!? HOPPYって、モッティお兄ちゃんが行ってるあのジム!? もしかして……なな子さん、そこで撮影してるの!?」

目をまんまるにしたこももが、瞬時に身を乗り出す。

「わかんないけど……あの色の壁、なかなか無いんだよなぁ……」

「……ねぇ、お兄ちゃん。HOPPY、ちょっとだけ、見せてくれない?」


翌日。

「今日は休館日だけど……まぁ、外から見るだけならな」

そう言いながら、モッティとこももはHOPPYの前に立った。

「鍵、かかってるよね?」とこももが聞くと、

「そうだな。……って、あれ?」

扉は、なぜか少しだけ開いていた。

中に入ると、ジム内には照明機材と三脚がずらりと並んでいる。ベンチ台の位置も普段と違い、カメラ映えを意識した配置になっていた。

「あの……こんにちはー……」と声をかけると、カウンターの奥から聞き覚えのある声。

「こんにちはー。あ、ごめんなさい、関係者の方……?」

それは、画面の中でしか見たことのなかった本人――梅島なな子だった。

こももはその場でフリーズ。言葉が出ない。

「ち、ちがいますっ!あの、あのっ……!だ、だ、大大大大ファンなんですっっ!」

顔を真っ赤にして、こももが言った。

そこへ、奥から現れたのは岡田氏だった。

「おや?……モッティ? どうした、忘れ物か?」

モッティはぺこりと頭を下げ、「すみません。妹が……なな子さんの動画見て、ジムの背景が似てるって気づいて……ちょっとだけ見せてって言われて……」と説明した。

岡田氏は苦笑して、「なるほどね。よく気づいたなあ」と言って、あっさりと入室を許可した。

「せっかくだから、見てっていいよ。今日は撮影日なんだ」

さらに、フクロカさんが記録ノートと一緒に控室から顔を出す。

「私、撮影のお手伝いをしてるの。照明の位置とか、音声チェックとかね」

「……えっ、フクロカさんが!?」

驚くモッティに、フクロカさんはいつもの落ち着いた口調で微笑んだ。


その後、撮影が始まった。

なな子さんは本番では凛とした表情でスクワットをこなしていく。フォームの正確さ、美しいライン、そして何よりカメラに映る自信と情熱に、こももはただただ息を呑んでいた。

だが、休憩時間。

カメラが止まると、なな子さんがふと岡田さんへ振り向き、

「ねえ?、さっきのバランスボールちょっとだけ奥に動かした方がいいんじゃない?」

「わかった。こうか?」

「うん、ありがとう!」

そのやり取りのトーンが、どうもただの“スタッフと出演者”には思えなかった。

その横顔を見ていたモッティとこももは、目と目で合図を交わした。

(……まさか……)

岡田氏がふと二人の視線に気づき、口元に人差し指を立てた。

「内緒な」

ぽつりとそれだけ言って、カメラ横に戻っていった。

「……やっぱり……」
こももは小声で言った。「岡田さんと、なな子さん、夫婦……なんだ……」
なな子さんは、アイドルを引退してモデルに転向した時に、一般男性と結婚したと発表していたのだった。
一般男性とは岡田さんだったのだ!

隣でフクロカさんが、静かに補足する。

「ふふ、そうよ。彼女がBIG3を始めたのも、岡田さんの影響。動画の場所に気づくなんて、すごいわね」


撮影終了後。

なな子さんが、こももにやさしく話しかけた。

「スクワット、頑張ってるんだって?」

画像

「……はい!」

「応援してるよ」

その言葉に、こももは小さく震えるくらい感動していた。

「……スクワット、もっと頑張ります!」

モッティはその横で、少し照れたように笑いながら言った。

「……今日は、ここに来てよかったなぁ……」

フクロカは、記録ノートをそっと開き、最終ページにこう記した。

――扉の向こうにあったのは、夢ではなく“現実”のかたちだった。

つづく   次回 最終章 最終話

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